演目を知る

チャイコフスキー3大バレエ
その他全幕バレエ

白鳥の湖

静かに流れるロマンティシズム

あらすじ
成人を迎えた王子を祝い、友人たちや農民たちが集まっている。そこへ母である王妃が現れ、翌日の舞踏会で結婚相手を選ぶように命ずる。やがて日が暮れ、森へ狩りに出かけた王子は白鳥の群れと出会う。白鳥たちは、乙女の姿となって岸に上がってきた。王子は、白鳥たちの中心にいるオデット姫に心を奪われる。最初はおびえていた彼女だが、その身の上を王子に話す。実は乙女たちは悪魔の呪いで白鳥に姿を変えられていて、それを解くことが出来るのは、永遠の真実の愛だけ。王子は姫に愛を誓う。悪魔は自分の娘オディールを、オデット姫そっくりに仕立て、翌日の舞踏会にやってくる。オディールをオデット姫と思い込んだ王子は、彼女に愛を誓ってしまう。そのとたん、オディールは正体を現す。窓の外には嘆き悲しむオデット姫。王子は湖へと急ぐ。王子はオデット姫に赦しを乞う。オデット姫は王子を許すが、悪魔の呪いが解けることはない。二人は愛を成就するために、湖に身を投げる。死をも恐れない二人の愛は、悪魔を滅ぼす。

レニングラード国立バレエの「バヤデルカ」のここが見どころ

Point01 湖畔の場面の白鳥たちの美しさ

1幕2場の湖畔のシーンは、クラシック・バレエの中でも最も有名な名場面。主役の踊りももちろんだが、白鳥に扮したチュチュをまとった姿のバレリーナたちの群舞は、幻想美に満ち溢れている。世界最高峰と絶賛されているレニングラード国立バレエのコール・ド・バレエ(群舞)が大活躍するのはこのシーン。彼女たちは、動きが単に揃っているというのではなく(一糸乱れぬ動きもそれだけで感動的だが)、全員の呼吸が合わさって、一体感をつくりあげている。温かみがあって、音楽的なコール・ドは何度見ても飽きることはない。

Point02 それぞれ異なる輝きを放つ主役たち

どのオデットで「白鳥の湖」を見る?というのは、レニングラード国立バレエファンの共通する贅沢な悩み。叙情的で可憐なシェスタコワ、華麗なペレン、スタイル抜群のボルチェンコ、清楚なコシェレワ・・・。もちろん、王子役ダンサーにも要注目。明るく誠実なプリンス・シヴァコフ、エレガントなプハチョフ、ノーブルなヤフニュークコリパエフ、あるいは個性豊かなルジマトフ(芸術顧問)。それぞれ異なる魅力をもつダンサーたちなので、「白鳥の湖」全幕の印象も異なってくる。そこをじっくり見るのも「通」の楽しみだ。

シェスタコワ
ペレン
ボルチェンコ
コシェレワ
プハチョフ
ヤフニューク
コリパエフ
ルジマトフ

Point03 原典に忠実という、こだわり

世界一有名なバレエ「白鳥の湖」だが、実はその演出・振付は、それぞれのバレエ団ごとに少しずつ違っている。19世紀に生まれた作品なので、時を経るごとに変化してきたわけだ。そんななかレニングラード国立バレエが現在上演しているのは、原典、つまり19世紀に生まれたときの姿を、できるだけ忠実に復元し、さらに現代の感覚も考慮して演出したボヤルチコフ版だ。特にソ連時代には、悲劇が好まれなかったため、「悪魔を倒した王子は姫と結ばれる」とハッピーエンドの演出が主流だったが、レニングラード国立バレエは悲劇で終わるのが特色だ。音楽とぴったり合ったその振付は、とても感動的。帝政ロシア時代に生まれたこの作品は、じつは登場人物の身分差が明らか。だが、ソビエト共産主義時代には、人物の身分はみな平等になった。「身分差」がよくわかるのは第一幕。王子、友人たち、貴族の仲間、農民たちと、その衣裳も身振り手振りもそれぞれ異なる。小さな椅子を使った農民たちのワルツ、リボンを使ったダンスなどは原典版のオリジナル。より変化に富んだ踊りが見られるのも、レニングラード国立バレエの「白鳥の湖」の特色だ。

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