演目を知る

チャイコフスキー3大バレエ
その他全幕バレエ

眠りの森の美女

オーロラ姫の祝宴がはじまる

あらすじ
フロレスタン王国に、待ち望まれていた姫が誕生し、盛大な洗礼式が行われる。オーロラと名づけられた姫は、妖精たちから「優しい心」「勇気」など様々な善い性質を贈られる。そこへ、突如として悪の精カラボスが乱入。この祝宴に招かれなかったことに腹を立て「オーロラ姫は16歳になると指に針を刺して死ぬ」と呪いをかける。しかし善の妖精であるリラの精が、「姫は死ぬのではなく眠りにつき、100年後、彼女を愛する王子のキスで目を覚ます」と予言する。
時は移り、オーロラ姫の16歳の誕生日のパーティ。オーロラ姫は、老婆に化けたカラボスから紡錘(ぼうすい/糸をつむぐ錘)を手渡され、それに指を刺して倒れてしまう。周囲は嘆き哀しむが、リラの精が現れ、姫だけではなく王国全てを眠りにつかせる。100年後、リラの精は、狩をしに森を訪れたデジレ王子にオーロラ姫の幻影を見せる。その美しさに心を奪われた王子は、森の奥に眠るオーロラ姫のもとに行き、カラボスを倒して、姫にキスをする。目覚めたオーロラ姫と王子は結婚する。

レニングラード国立バレエの「眠りの森の美女」のここが見どころ

Point01 世界最強のヒロイン

数あるクラシック・バレエの名作のなかでも、「眠りの森の美女」は、もっともゴージャスで完成度も高い。架空の王国が舞台のファンタジー。全編見どころばかりである。なかでも注目は、やはりヒロイン、オーロラ姫の華麗な踊り。バレエのヒロインというものは、「美貌に恵まれ、性格も良い」のが当たり前なのだが、その中でもオーロラ姫は最強。なぜならプリンセスとして生まれてすぐに、名付け親から、すべての「善い性格」をプレゼントされたのだから。そんなオーロラ姫役は「完璧」を求められるため、プリマにとっては、とても難しい役であり、同時に、この役を踊ること自体が素晴らしい名誉でもある。シェスタコワペレンヤパーロワらオーロラ姫役プリマたちの踊りは、踊る喜びにあふれ、誇らしげ。その輝きに酔いしれたい。

シェスタコワ
ペレン
ヤパーロワ

Point02 見れば見るほど美しい

とにかく豪華な作品なので、その美術や衣裳もじっくり見ておきたい。プロローグでの妖精たちのチュチュには、カーネーションや、すずらんなど花があしらわれている。オーロラ姫は、ピンクのチュチュで姿を現すが、デジレ王子がひとめで恋に落ちた「幻のオーロラ姫」は、森の緑に溶け込むような淡いオレンジ色の衣裳だ。さらに結婚式の冒頭には、クラシカルなウェディングドレスを披露するが、ラストのグラン・パ・ド・ドゥでは、純白のチュチュ。「ロング丈のウェディングドレスはとても素敵だから、本当は、もっと長く着ていたいの」と語るバレリーナもいるほどで、観客にとっても、じっくり見たいドレス。お見逃しなく。

妖精たち
幻のオーロラ姫
ウェディングドレス

Point03 音楽で夢を見る?幻の間奏曲

第2幕。オーロラ姫の幻影に心を奪われたデジレ王子は、リラの精とともに小舟に乗って、姫が眠る森へと向かう。この「パノラマ」と呼ばれているシーンは、木々の中を進む王子が見る風景。その後、一度幕が下り、間奏曲が演奏される。カットされることの多いこの曲だが、その音楽は美しく、幻想の世界に浸ることができる。

Point04 王様は"善い人"

レニングラード国立バレエの「眠りの森の美女」は、「白鳥の湖」同様に、原典にこだわっている。帝政ロシア時代に誕生したこの作品は、絶大な権力者で、また劇場オーナーでもある皇帝に見せることを前提としている。だから、皇帝を連想させる王様の描き方にも気を使っている。第一幕で、命令に背いて、編み物をしていたため捕らえられた女性たちを赦す王様は、ほかの演出版では見られないほど優しい表情。王様は善い人なのだ。

フロリナ王女と青い鳥

Point05 大活躍する童話の主人公たち

オーロラ姫とデジレ王子の結婚式は、それはそれは盛大で、ペロー原作の童話の主人公たちも出席し、それぞれ踊りを披露する。注目は「フロリナ王女と青い鳥」。そのグラン・パ・ド・ドゥは、難易度が高く見ごたえがあり、バレエ・コンサートなどでも人気の小品。また、小柄なバレリーナが演じることの多い、赤頭巾ちゃん白猫の愛らしさは、レニングラード国立バレエならでは。子供たちが大活躍する「親指小僧たちと人食い鬼」も、なかなか見ることができない小品だ。

親指小僧たちと人食い鬼
赤頭巾ちゃんと狼
長靴をはいた猫と白い猫
一覧に戻る

当サイト内の画像・文章等の無断転用・複製を禁じます。

KORANSHA エイブルCHINTAIホールディングス 光藍社

All Rights Reserved, Copyright (c) 2007 KORANSHA INC. No republication without written permission.